小学校の手紙を”やさしい日本語”へ。 『引き渡し訓練VER』 ~日本語が苦手な保護者にも読まれる手紙へ~

小学校からは毎日のように手紙が配布されます。しかし、かしこまった日本語表現の手紙多く、外国籍などの日本語が苦手な保護者には難しいことが多いです。漢字や文字数が多いだけで読まれないことや、読まれても誤解を招くこともあります。この記事では、よくある手紙の内容を”やさしい日本語”へどのように変換するかを解説します。(幼稚園・保育園の手紙の例はこちら)

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基本ルール

大きく以下の4つのルールに沿ってやさしい日本語へ変えていきます。

①情報を絞る
②一文を短く
③単語を簡単に
④表現方法を変える

詳しくは、幼稚園・保育園の手紙のページの項目2~5を参照下さい。

手紙のタイトル

元の文章やさしい日本語
引き渡し訓練のお知らせおおきい 地震しじんとき練習れんしゅうを します (おや学校がっこうにきて、 子供こどもと いっしょに かえります。)

”引き渡す”のような二つの言葉が合わさった言葉は、単独での意味と大きく異なる場合が多いため、避けましょう。
”訓練”は中級の単語のため、初級単語”練習”へ変換しました。
具体的に親が何をする必要があるかを、タイトルで書きました。

前文

元の文章やさしい日本語
春暖の候、日頃より・・(略)・・ありがとうございます。 – (省略します)

最も避けたいことは、読んでもらえないことです。漢字や文字が多い資料というのは読む気が失せてしまうことも多いです。そこで、外国人向けの手紙には、必要最小限の内容のみを記載します。文字数を減らし、「この量なら読もうかな?」と思ってもらうことが目的です。

そのため、前文で書かれている時候の挨拶や感謝の挨拶は省略します。

本文

元の文章やさしい日本語
 ○○市では、「震災時における・・(略)・・指針」により、市区域内震度5弱以上の地震発生時には児童は原則保護者へ引き渡すことになっています。つきまして、下記の通り引き渡し訓練を実施致します。安全で確実な引き渡しを行えるように、ご多用とは存じますが、御協力をお願い致します。おおきい 地震じしん(震度しんど5弱以上じゃくいじょう)が あったときは、おや学校がっこうに きて、子供こどもと いっしょに かえります。さいたまの ルールです。練習れんしゅうを しますので、かならおや学校がっこうに きてください。

必要な情報に絞って書きます。震度5弱以上の時は保護者が学校に来ることや、さいたま市のルールであることに情報を絞っています。また、保護者の参加は強制なのか、任意なのか、はっきりと書きましょう。

記書き

元の文章やさしい日本語
1. 日時 令和6年4月11日(土) 第3校時 (10時55分~11時20分)1. いつ? : 4がつ11にち(よう) 1055ふんまでに てください

日付と集合時間に情報をしぼりました。
なお、4/11と記載すると、11月4日と理解する地域もありますので注意が必要です。

元の文章やさしい日本語
2. 場所 ○○小学校 校庭
 ※各学年の引き渡し場所の詳細は裏面をご参照下さい。
 ※雨天でも実施します。状況によっては、引き渡し場所を教室に変更します。
2. どこで? ○○小学校しょうがっこう校庭こうてい
 ※このかみうらに、あつまる 場所ばしょいて あります。
 ※あめっていても やります。あめつよいときは、教室きょうしつ子供こどもいます。

”詳細”や”裏面”という表現を変えました。

元の文章やさしい日本語
3. 方法
(1) 10時40分に震度5弱以上の地震が発生したと想定します。
3. ながれ
(1) – (省略します)
(2) 10時45分に学校からメールを配信します。(2) 1045ふん学校がっこうから メールを おくります。
(3) 10時55分から引き渡しを開始します。各学年の引き渡し場所にてお待ちください。兄弟姉妹がいる場合は、上の学年の引き渡し場所にてお待ちください。(3) 1055ふんまでに あつまる場所ばしょてください。兄弟きょうだい姉妹しまいが いる人は、うえあにあねあつまる 場所ばしょて ください。
(4) 放送で説明後、学年ごとに放送の合図により引き渡しとなります。裏面の→の方向に一方通行で移動して下さい。(4) 学校がっこうぐち出口でぐちまっています。このうら地図ちずてください。
(5) 引き渡しの際、引き渡し児童の名前と向かえに来られた方のお名前を担任に伝えてください。(5) 子供こども名前なまえおや名前なまえを、先生せんせいって ください。

必要な情報に絞り、”一方通行”や”引き渡し児童”という表現を変えました。

まとめ

以上、小学校からの引き渡し訓練のお便りをやさしい日本語にする方法となります。
やさしい日本語に慣れるには時間が必要ですが、外国人児童・保護者との共生を目指して作成してみましょう。
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小学校・中学校・高校の先生向けの”やさしい日本語”研修や、外国人の保護者向け日本語教室を提供しています。それぞれの学校や地域の状況を確認し、参加者の状況に合った研修内容にします。
<先生向け例>
・やさしい日本語を用いた手紙の書き方
・やさしい日本語を用いた面談や電話での話し方
・外国人にとって難しい日本語の調べ方
<保護者向け例>
・手紙の読み方
・年中行事や日本文化
・日本語でのコミュニケーション方法

などなど、ご要望に応じた研修内容にカスタマイズ可能です。

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